第451話 最新オフィス傾向 執務エリア拡大・福利厚生エリアは縮小?
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
神様:東京を中心に、日本国内の不動産投資、特にオフィスを扱う投資が盛り上がりを見せています。総合不動産サービスを手掛けるジョーンズ ラング ラサールによると、2024年の国内不動産投資におけるオフィスの投資額はおよそ2兆円でした。これは前年と比較して77%の大幅増加です。
T:77%の増加とは、とんでもない伸びですね。
神様:足元でも投資意欲は衰えていません。2025年は2024年を超える投資が見込まれています。
T:一体何があったのでしょうか?
神様:詳しい要因については、ジョーンズ ラング ラサール社の発表をご確認いただきたいと思いますが、都心一等地の高額なオフィスを中心に活発に取引されているようです。
T:しかし、働き方も多様化し、今後は労働人口も減少していきます。オフィスビルの供給も十分にあると言われる中、オフィスの空室も増えていくのではないですか?
神様:Tさんのおっしゃる通り、コロナ禍前に比べるとオフィスの空室率は高い水準にあるようです。一般に空室率はビルの賃貸可能なオフィスの総床面積に対する空室床面積の割合で示されます。空室率が低いほど投資対象としては良い物件と言えるでしょう。2000年以降、この空室率が高くなった機会が2回ありました。一つは東日本大震災、そしてもう一つはコロナ禍です。東日本大震災では安全面の強化、そしてコロナ禍では働き方の多様化に伴う柔軟な労働環境の提供という面でオフィスのあり方に大きな変化をもたらしました。
T:在宅勤務が定着した今、コロナ禍前のように皆がオフィスに出勤する状況に戻ることはないでしょうね。オフィスにも柔軟な労働環境を提供できることが求められています。
神様:リモートワークには合理的な労働形態として根強いニーズがあり、この先も完全になくなることはないでしょう。一方で、多くの企業では生産性向上の観点から、出社への回帰も見られます。今はオフィスでの労働が中心でありながら、自宅での労働も一定の割合を保つハイブリッドな働き方が主流です。Tさんならどんなオフィスで働きたいですか?

T:生産性向上のために出社するわけですから、交通の便がよくて仕事の効率が上がるような環境がいいですね。あ、なるほど。そのように考える企業も多いため都心一等地のオフィスが人気になるんですね。
神様:オフィス内部の構成にも変化が見られます。コクヨの調べによれば、2000年代のオフィス面積比率の変化を見ると、2024年は福利厚生エリアの面積比率が低下傾向にあり、一方でゆったりとした労働環境を維持するため、執務エリアの面積比率が拡大する傾向にあります。

T:福利厚生エリアというのは、具体的には何を指すのでしょうか?
神様:例えば、ジムなどの運動施設やリフレッシュルーム、社員食堂なども該当するかもしれません。
T:執務室エリアというのは、仕事をする机・椅子などのスペースやミーティングスペースなどですね。交通の便が良い都心の一等地で、ゆったりとした執務スペースに皆で集まって仕事ができたら魅力的な労働環境ですね。
神様:オフィスのレイアウトというのは、社員の労働意欲を左右する要因の一つです。今後新たな労働力を確保するためにも、スマートなオフィスレイアウトは重要視されています。新築ビルが人気ですが、今後は既存ビルの改装も活発に行われるでしょう。オフィスレイアウトなど、執務室エリアを中心とした労働環境の充実に関連した企業に注目してみるのも面白いと思います。
(この項終わり。次回6/18掲載予定)
投資・相続のご相談は
いちよし証券へ
全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。