第452話 日本の有効パスポート数が減少 旅行は海外より国内が人気
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:Tさん、現在パスポート(旅券)をお持ちですか?
T:ええ、持っていますよ。仕事などで急に海外へ行くことになったときに必要ですし、身分証としても使えますから。
神様:おっしゃる通り、パスポートは世界中で通用する身分証明書です。外務省によれば、世界のほとんどの国が、外国人の入国・滞在を許可する条件の一つとしてパスポートの携帯や呈示を求めています。海外で活動する際になくてはならないものです。
T:よく報道などで日本のパスポートの世界における信用の高さが話題となっていますね。2024年には日本のパスポートが世界最強のパスポートに返り咲いたとか。
神様:よくご存知ですね。報道によると2025年には世界2位になったようです。それでも十分信用度の高いパスポートと言えるでしょう。しかし、一方で日本のパスポートの数に変化が訪れています。外務省によると、2024年の旅券統計にて2024年末時点の有効旅券数は2,159万枚であり、同時点の人口比で17.5%の人が旅券を所有しているそうです。2019年まで人口比は23%程度で推移していましたが、コロナ禍を機に落ち込み、いまだ回復していない状況です。

T:パスポートの保有率は、世界の主要国ではどのくらいなのでしょうか?
神様:米国のパスポート保有率は約48%、ドイツでは約80%以上の国民が保有しています。日本は他国に比べても低いことがわかります。
T:コロナ禍を過ぎてもなぜパスポート保有率が回復しないのでしょうか?
神様:コロナ禍で海外渡航が控えられている間にそのまま期限が失効した人が多いようです。その後の外国為替市場において、2021年以降のドル円相場で円安が進んでいたことも影響したと思われます。

T:確かに、円安が進む今の状況下での海外の物価は非常に高く、手が出ません。海外へ行くハードルが高くなったような気もします。今年のゴールデンウィークも国内旅行が人気だったようですね。
神様:海外旅行に代わり、最近では国内旅行の人気が増しています。観光庁によると、2025年1-3月期の国内旅行消費額は5兆6,483億円となり、前年同期比で15.5%の増加となりました。日本人国内延べ旅行者数は1億1,964万人で、前年同期比で6.0%の増加です。国内旅行は海外旅行に比べて移動時間が短く、旅行予算も安く済むのが魅力でしょう。一方で最近では海外旅行と同程度の予算で国内旅行を楽しむ人も多いようです。
T:海外旅行と同じ予算で?一体どんな国内旅行なのでしょうか?
神様:例えば、非日常を味わえる観光列車が人気です。観光列車とは、移動手段としての列車ではなく、乗ること自体が目的となるような、特別な外観や内装を持つ列車のことを言います。特急で周遊しながらその地でしか味わえない食べ物を楽しむなど、趣向を凝らした列車に揺られて旅をするのは、まさに非日常の経験です。
T:いいですね。至福の時間となりそうですね。
神様:高級ホテルや高級旅館などの高級宿泊施設も、国内の富裕層やリピートで訪れる訪日客に人気です。高級宿泊施設は宿泊客数を抑えつつ客単価を上げることが可能です。宿泊業界では人手不足を補う方法の一つとして注目されています。2025年1-3月期の国内旅行消費額を見ても、宿泊旅行消費額が4兆5,866億円、前年同期比で18.5%の増加となっており、日帰り旅行の消費額よりも大きな伸びが見られます。
T:単なる国内旅行ではなく、少し奮発して高級ホテル・旅館に泊まって非日常を味わう。いい時間の使い方ではないですか。訪日客の増加で国内の主要観光地はどこも混雑している印象がありますが、これからは非日常の体験をテーマに日本人向けの国内旅行需要も盛り上がりを見せそうですね。関連企業の活躍に期待したいと思います。
(この項終わり。次回6/25掲載予定)
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