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第316話 デジタル変革で需要拡大 「コネクタ市場」に注目

2022.08.31

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町のお茶屋さんで投資談義を行っています。


T:8月23日の報道によると、金融庁は2023年度の税制改正要望に、NISA(少額投資非課税制度)の恒久化や投資可能金額の上限の引き上げなどが盛り込まれるようです。

神様:政府が進める「資産所得倍増プラン」の柱のひとつと見られています。今年末までに具体的なプランが判明する予定ですが、これは国民全体の投資への注目度を高めるチャンスです。

T:私も目先の利益に一喜一憂せず、日本の企業・日本の未来を応援する気持ちでより気を引き締めて投資活動に取り組まねばなりませんね。

神様:さて、今日はある業界をご紹介します。Tさんは「コネクタ」とは何か、ご存知ですか?

T:connect(接続)するもの、なのは何となくわかりますが。何かの部品でしょうか?

神様:コネクタとは、様々なエレクトロニクス関連機器に幅広く使用されている「部品」です。何に使われているかは、わかりますか?

T:何でしょう?あまりパッと思いつきません。

神様:例えばPCなどのコンピュータを例にとりましょう。コンピュータは0や1の情報を電気信号によって計算処理をします。コンピュータは様々な電子機器から成り立っています。コネクタはそれらの電子機器をつなぎ、また、切り離す役割を持ち、電気信号を通します。

T:電気を橋渡ししていく役割をするのでしょうか?

神様:そうですね。別の例ですと、例えばネットワーク機器で「USB」がありますね。USBの接続口の形状は「Type-A」「Type-B」「Mini-B」など様々な形があります。USBの接続部分のことを「USBコネクタ」と言います。USBも機器と機器をつないで電気信号を橋渡しする役割を果たしていますね。

T:なるほど。コネクタのイメージがついてきました。

神様:この「コネクタ市場」が注目されています。米国調査会社Allied Market Researchによると、世界のコネクタ市場規模は2020年の622億7,000万米ドルから、2030年までに1,147億3,240万米ドルに拡大する見通しです。2020年から2030年の年平均成長率では実に6.6%になります。

T:高い成長率が続くのですね。しかし今後の世界のデジタル化を考えると、コネクタ市場の重要性も納得できます。

神様:おっしゃる通りです。コネクタの主要マーケットは、自動車、産業機器、携帯端末、通信インフラなどです。コネクタ市場拡大の背景には、これらの主要マーケットにおける技術革新が挙げられます。5Gによる情報通信技術の高度化、自動車の電装化による高機能化、そして社会全体のデジタル変革やスマート化、自動化など、これらが進歩し普及するほど、コネクタの需要は増していきます。

T:半導体などと同様に、デジタル変革に欠かせない部品ということですね。

神様:一方で、様々なところで使われる分、耐久性が求められます。また、電子機器の設計は非常に複雑です。多種多様なコネクタが必要となりますし、実際に生み出されています。日本のコネクタの生産金額を見ると、現在は回復傾向にあります。長期化する米中貿易摩擦や中国のゼロコロナ政策、原材料の高騰や物流コストの上昇など懸念材料はありますが、これからさらに需要が増していく業界です。関連企業には、顧客に対してきめ細かな対応をすること、特色ある製品を提供することなどの工夫により、持続的な業績成長を期待したいところです。

T:日本のコネクタ関連企業の活躍に注目したいと思います。

(この項終わり。次回9/7「宅配便「年間50億個」へ 巣ごもり特需反動も好調続く」掲載予定)

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