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第317話 宅配便「年間50億個」へ 巣ごもり特需反動も好調続く

2022.09.07

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、秋の気配を感じる公園で散歩しながら投資談義を行っています。


T:観光庁は8月25日、県民割の延長を発表し「全国旅行支援」については引き続き、感染状況の改善が確認できれば速やかに実施することとしました。全国旅行支援の9月中の実施はなさそうですか?

神様:斉藤国土交通大臣は8月26日の会見で「全国旅行支援を9月末までしませんと言うことではなく、全国旅行支援が開始される状況になれば、県民割をストップして、全国旅行支援にする」と述べています。しかし感染者数は依然として多く、落ち着いているとは言えません。

T:今年の夏は久しぶりにお祭りが開催されて賑わったところも多いですから、その後の感染状況も気になりますね。しかし、9月はシルバーウィークがあります。観光業界にとっては大切な時期ですから、早く感染状況が落ち着くことを願います。

神様:国土交通省と言えば、今日はこんな話をしたいと思います。8月10日に2021年度の宅配便取扱実績が公表されました。昨年の9月にも、宅配便について触れたことを覚えていますか?

T:はい。昨年のお話では、2020年度はコロナ禍による巣ごもり特需から、宅配便が好調で取扱数が年間50億個目前に迫った( 第269話 「年間50億個」目前 コロナ禍で宅配便が好調 )というお話でした。2021年度はどうだったのでしょうか?

神様:2021年度の宅配便取扱個数は、前年度比で2.4%増の49億5323万個となりました。年間50億には到達せず、巣ごもり特需の反動により増加率は鈍化していますが、取扱個数は7年連続で過去最多を更新しました。また、内訳を見てみると、トラック運送が前年度比で2%増の48億8,206万個、航空等利用運送が前年度比で38.1%増の7,117万個となりました。

T:このままいくと、2022年度で年間50億個の大台に到達しそうですね。

神様:可能性は高そうです。2021年度はコロナ禍による外出自粛等の行動制限が徐々に緩和しましたが、宅配便の取扱個数は伸び続けています。多くの人がインターネットによるEC(電子商取引)を利用する機会を得たことにより「ネットで注文した商品が自宅に届く」利便性が浸透したことが背景にあるとみられます。

T:確かに私自身も、コロナ禍をきっかけに食品や雑貨などでECを利用する機会が増えたように思います。

神様:経済産業省によると、2021年の国内の物販系分野の消費者向けECの市場規模は、前年比で8.6%増となる13兆2,865億円となりました。EC市場は右肩上がりで伸び続けています。物販系分野の消費者向け商取引のうち、ECが占める比率(EC化率)は2020年で8.08%でしたが、2021年は8.78%となり、上昇し続けています。商品別では、書籍、映像・音楽ソフト、生活家電、生活雑貨等のEC化率が高い傾向にあります。いずれも宅配便の利用が多い分野です。

T:買い物では現金による支払いよりもクレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用することも増えました。ポイントを上手に貯めるために、ECやキャッシュレス決済を使った方がお得なことも多いですよね。ECの利用が浸透しているので、コロナ禍による外出制限などがなくなった後も、宅配便の取扱個数の増加は続きそうだということですね。

神様:その通りです。一方で、宅配便を取り扱う各企業においては、労働環境の改善や人手不足などの課題があります。各企業がそれらをどのように解決しようとしているかにも注目しましょう。

T:はい。そして、2022年度で年間50億個を突破するのかにも注目したいと思います。

(この項終わり。次回9/14「脱炭素エネルギーの柱へ 「次世代原子力発電」とは?」掲載予定)

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