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第390話 ゲームセンター市場拡大をけん引する”人気ゲーム”とは?

2024.03.13

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のゲームセンターで缶コーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:数十年ぶりにゲームセンターに来たのですが、フロアの雰囲気、並んでいる機械が昔とガラッと変わりましたね。

神様:何が変わりましたか?

T:昔ながらのレトロな機械もあるのですが、UFOキャッチャーなどのクレーンゲームが多いですね。クレーンゲームのバリエーションもたくさんあるので驚きました。

神様:そうですね。今はクレーンゲームの専門店も登場していますし、昨今の人気が高いことがわかります。今日はゲームセンター市場について見ていきましょうか。

T:ゲームセンター市場というと、スマホやネットゲームの台頭もあり、規模は縮小しているイメージがあります。実際はどうでしょうか?

神様:確かに市場は縮小していたのですが、2014年度を底として2019年度まで回復基調をたどっていました。

T:2020年度はコロナ禍でしたが、ゲームセンターも新型コロナウイルス感染の影響は大きかったのでしょうか?

神様:はい。日本アミューズメント産業協会によると、2020年度は時短営業の影響もあり、前年度比で22.6%減となる4,187億円まで落ち込んでいます。しかし、2023年7月に公表された2021年度の「アミューズメント産業の実態調査」によれば、2021年度の国内ゲームセンターの市場規模は前年度比で7.3%増となる4,492億円となりました。回復の兆しが見えており、今後公表される2022年度以降でも順調なようです。

T:ゲームセンターもコロナ禍から順調に回復しているということですね。

神様:それだけではないようです。2014年以降の回復基調とも関連しますが、2021年度で注目すべき点は、あるゲームの売上高が過去16年間で最高となったことです。

T:ひょっとして、そのゲームがクレーンゲームですか?

神様:その通りです。UFOキャッチャーなどのクレーンゲームは、一般的に「プライズゲーム」と呼ばれます。プライズとは、クレーンゲームの景品のことを言います。ゲームセンターの他のゲームの売上高が落ちている中、プライズゲームは2014年からの5年で1.7倍に成長し、2021年度の売上は3,062億円と、過去16年間で最高水準を記録しました。

T:並んでいる機械を見ていると楽しそうで、私も遊びたくなります。人気があるのも頷けます。しかし、なぜこんなに人気になったのでしょうか?

神様:要因のひとつは、プライズゲームで獲得できる「景品」にかけられる金額がだんだんと高くなっていることです。クレーンゲームなどの景品は、風営法で規制されています。しかし、風営法の規制が緩和され、現在は景品にかけられる金額の上限が「小売価格でおおむね1,000円以下」となりました。日本アミューズメント産業協会では、アミューズメント施設における景品提供営業のガイドラインを発出していますので、一度確認すると良いでしょう。

T:なるほど。景品にかけられるお金が大きくなったことで、景品がより豪華で魅力的になったというわけですね。大きなぬいぐるみの景品が取れたらうれしいですからね。

神様:さらに、アニメの隆盛も一役買っています。例えば、日本クレーンゲーム協会によると、2010年頃に漫画「ONE PIECE」のキャラクターの大ヒットにより、フュギィアの人気が本格化。非売品で希少性の高い景品も登場し、これまでクレーンゲームに興味のなかった人々も遊ぶようになりました。

T:なるほど、面白い。景品の大型化だけでなく、アニメや漫画の人気キャラクターの景品化、フィギュアなどの景品の希少化など、様々な要因が重なって”プライズゲームブーム”が出来上がっていることがわかりました。アニメや漫画とのコラボで、今後は訪日外国人観光客や海外での展開もありそうですね。

神様:1回100円から200円で遊べる手軽さも見逃せません。プライズゲームは相対的に採算性の高いゲームです。今後のゲーム市場の動向に注目しましょう。

(この項終わり。次回3/20掲載予定)

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