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第391話 ドライバー不足は解消する?タクシー業界の収益性拡大へ

2024.03.20

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、兜町近辺を歩きながら投資談義を行っています。


T:最近は兜町もおしゃれな街になりました。新しいビルが建ち、訪日観光客も日本の金融街を見に訪れているようです。

神様:この街には歴史ある建物もあります。これからはビジネスマンだけでなく、国内外から様々な人たちが兜町の雰囲気を楽しみに来るでしょう。

T:しかし、良いことばかりではありません。ビジネスマン側から見れば、タクシーを捕まえづらくなってしまうかもしれません。訪日外国人にはタクシーが人気だと聞きますし、コロナ禍以降タクシー運転手が不足している中で、兜町にとっては痛手です。

神様:おっしゃる通り、近年の日本はインバウンドの増加などでタクシーの利用が増えています。その上、コロナ禍に退職したドライバーもおり、タクシードライバー不足が問題となっていますね。一部地域ではドライバーが足りず配車を断る事例もあるようです。

T:都心はまだましですが、地方はさらに深刻ですよね。以前もオーバーツーリズムの話がありましたが( 第374話 「爆買い」より「コト消費」インバウンド需要は回復から拡大へ )、ライドシェアへの取り組みが急がれます。

神様:訪日外国人などの観光客は訪れる土地には不慣れですから、タクシーの利用が好まれます。欧米に比べてタクシー料金が安いことも利用に拍車をかけています。英国のロンドン、米国のニューヨークと東京のタクシー利用料金を比較すると、東京が安いことがわかります。日本ではチップの支払いもありません。

T:なるほど。逆に言えば、利用料金を多少上げても訪日客にとっては問題ないということですね。

神様:おっしゃる通り、タクシー運賃は値上がりする傾向にあります。タクシードライバー不足については、内閣府の「規制改革推進会議」で議論が行われていますが、実は規制緩和が進めば、ドライバーの不足は都市部では1年で、観光地・インバウンドでは2年で、地方・過疎地では3年で解消するとの見込みも出ているのです。

T:え、ドライバー不足は解消するのですか?一体どんな規制緩和なのでしょうか?

神様:例えばTさんがおっしゃった運賃改定などです。東京や大阪では、運賃改定後にドライバーの増加ペースが上がった事例もあるようです。それから、東京23区などの一部地域では、タクシードライバー試験として地域の地理を問う問題があり、なかなか難易度が高いのです。しかし、令和6年2月29日付の国土交通省令、タクシー業務適正化特別措置法施行規則の一部を改正する省令により、地理の試験は廃止されることとなりました。

T:そんな試験があったのですね。今はカーナビや地図アプリがありますから、地域の地理を暗記しておかなければならない、というのは時代遅れとも言えます。この廃止措置によって試験を受けるハードルが下がるわけですね。

神様:その他にも、二種免許取得期間の短縮化や、配車アプリの活用も挙げられます。

T:配車アプリは便利ですね。アプリで配車予約すれば効率よく利用できますし、あらかじめ目的地を設定して事前に料金を確認できれば安心してタクシーに乗れます。

神様:タクシードライバーにとっては、アプリ経由で予約を受けることで利用客を探す手間が省けます。目的地を事前に把握できれば、経験が浅いドライバーでも少ない負担で業務を行うことができます。そして、タクシー事業者にとっては配車予約を受けることで移動距離に応じた料金と一定の配車手数料が加算されますから、収益性が増します。

T:まさに「三方よし」ということですね。

神様:実際、配車アプリのサービスに期待されているところは大きいです。タクシーアプリが普及することで、既存のドライバーの生産性が上がり、アプリ活用を目的とした新しいドライバーも増加することが見込まれます。それにより、全体の生産性が向上することが期待されています。2009年以降の無線配車回数と伸び率の推移を見ると、近年配車回数が急激に伸びていることがわかるでしょう。

T:なるほど。規制緩和が進みアプリが普及すればタクシードライバー不足は解消し、業界全体の収益性が向上していくことが期待できますね。今後の動向が楽しみです。

(この項終わり。次回3/27掲載予定)

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