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第396話 2024春闘の賃上げ、最高水準に クレジットカード決済に注目

2024.04.24

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:今年の春闘の結果を見ると、高い賃上げが実現しつつあるようですね。

神様:はい。連合が4月4日に発表した2024春闘の第3回回答集計によると、平均賃金方式で回答を引き出した2,620組合の定昇相当込み賃上げの加重平均は、昨年の同時期比で1.54ポイント上昇となる5.24%となりました。中小組合の賃上げ率は昨年の同時期比で1.27ポイント上昇となる4.69%でした。2013年の春闘以降では最も高い水準となっており、全体的に中堅・中小組合が健闘した結果となっています。

T:これだけの賃上げが実現すれば、今後の物価高による消費者への影響も変化してくるでしょうか?

神様:足元を見ると、2月の実質賃金は前年同月と比べて1.3%の減少で、23カ月連続のマイナスとなりました。依然として実質賃金は減少している状況です。しかし、今回の春闘での賃上げにより、夏ごろには実質賃金もプラスに転じる可能性があると思われます。

T:それは楽しみですね。夏以降消費が増える展開に期待したいです。

神様:ところで、個人消費の増加に伴い、クレジットカードの決済総額である年間の信用供与額がさらに増加することが期待されています。

T:信用供与額とは何でしょうか?

神様:信用供与額とは、消費者が1年間にクレジットカードでのショッピングやカードを使わずに信販会社が立替払いをするショッピングクレジットを利用した金額のことを言います。2014年以降の信用供与額の推移を見ると右肩上がりで増加しており、2022年には前年比で約16%の伸びとなりました。

T:賃上げによって使える収入が増え、クレジットカードを利用する機会もさらに増えるということですね。

神様:最近はクレジットカードを1人で複数枚所有し、用途によって使い分ける人が増えています。カード発行枚数も増加傾向にあり、2022年にはカード発行枚数は約2億8,000万枚に達しています。月平均決済金額も約6万円を超える金額となりました。

T:カードを使えばポイントがたまりますから、そのために複数枚持つ人も多いですよね。

神様:おっしゃる通りです。近年はオンラインショッピングなどによるオンライン決済も増加しており、公共料金やクレジットカード決済による積立投資など、利用範囲が拡大しています。今後はさらに、月平均利用額、年間の信用供与額ともに増加していくことが見込まれます。

T:政府によるキャッシュレス決済の推進も後押ししていますね。政府は2025年にキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目標としていますが、3月末に発表された2023年のキャッシュレス決済比率を見ると、39.3%と4割達成まであとわずかです。クレジットカードはキャッシュレス決済のうち8割以上(105.7兆円)を占めています。今後も拡大を続けそうです。

神様:クレジットカード決済の関連企業への恩恵は大きいと思われます。インフレに伴い決済単価の上昇が見込まれますし、カード会社は受け取る手数料も増加するでしょう。今後の賃上げによる個人消費の拡大を見据えて、クレジットカードの関連企業の業績に注目してみると面白いかもしれません。

(この項終わり。次回5/1掲載予定)

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