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第467話 ChatGPT登場から3年 生成AI対応でデータセンター需要拡大に注目

2025.10.01

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:自民党総裁選が10月4日に開催されます。株価が高値を維持する中、注目ですね。

神様:今後の新総裁によるインフレ対策や景気拡大政策に注目し、株式市場の追い風に期待したいところです。さて、今日はデータセンターについてお話しましょう。総務省は7月に「令和7年版 情報通信白書」を公表しました。世界のデータセンター市場は、2024年に4,161億ドルと見込まれていますが、2029年には6,241億ドルまで拡大する見通しです。

T:拡大の要因はやはり、生成AIですね。

神様:その通りです。生成AI「Chat GPT」が登場したのは2022年11月。早いものでもうすぐ3年が経過しようとしています。生成AIはディープラーニングによる学習が不可欠で、学習のためには膨大なデータが必要となります。データセンターはAIにとって学習する場ですから、言ってみれば学校のようなものです。

T:なるほど。学校が世界各地に増え続けているわけですか。

神様:世界各地と言いたいところですが、現状はデータセンターの立地場所は偏っています。生成AIが必要とする大規模データセンターの地域別のシェアを見ると、2022年時点では米国が半分以上と、圧倒的なシェアを占めています。2025年現在も米国への集中は変わらず、日本は米国の4%程度となっています。

T:要因は何でしょうか?各国の生成AIの利用率とも関係しているのでしょうか?

神様:米国に巨大テック企業が集中し、米国企業によるデータセンター向けの投資が拡大しています。また、生成AIの利用率を見ると、日本は2024年度では約26%でした。他方で米国は約69%、中国では実に81%の利用率でした。日本より海外で利用が進んでいると言えます。

T:中国の生成AI利用率は米国以上なのですか。国土も広いですし、データセンターの立地にも最適なように思えます。

神様:中国はアジア最大のデータセンター立地国で、日本との差も拡大しつつあります。しかし、日本の政情やインフラの安定さは大きな強みです。日本に国際的なデータ流通のハブとして期待する声も大きいのです。

T:生成AIは世界各地で利用されているわけですから、米国以外の国ではデータセンター建設に向けた設備投資がまだまだ続く、と考えることもできますね。

神様:さて、データセンター市場の要素として、ネットワークインフラ、サーバー、ストレージなどがありますが、今後拡大する市場の約半分は、ネットワークインフラ関連の機器やサービスであると予測されています。これはクラウドサービス市場の拡大と無関係ではないでしょう。

T:と言いますと?

神様:生成AIをはじめとした多くのアプリケーションの利用ではクラウドが不可欠です。また、クラウドサービス遅延の解消に期待される技術として「エッジコンピューティング」があり、今後伸びていくことが見込まれます。例えば、クラウドとユーザーの端末の間にエッジサーバーを置き、クラウドで全ての計算を処理するのではなく、エッジサーバーでも処理を行うことで、よりリアルタイムでAIの活用が期待されます。

T:そう言えば、最近PCメーカー各社から「AI PC」なるものが登場しています。NPUと呼ばれるプロセッサーを搭載し、AIに特化した演算を早く行えるとのことで、私も気になっています。あれもエッジコンピューティングの一種ですね。

神様:はい。クラウドだけで処理するのではなく、端末などでAIの演算処理を行う技術はエッジAIとも呼ばれます。

T:AIがクラウドサーバーから飛び出してPC端末やエッジサーバーなどでも演算を行うことで、より早く高性能なAIになるのでしょう。そして、そういった高性能AIにとって、ネットワークインフラの安定やスピードは重要です。サーバー建設に関わる日本の企業にも期待したいところですね。

(この項終わり。次回10/8掲載予定)

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