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第491話 2040年に日本の主要電源へ 「再エネ」支える蓄電池ビジネス

2026.04.01

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園で散歩をしながら投資談義を行っています。


T:中東情勢の緊迫化が続いていますね。外務省は3月23日、全世界を対象に海外に渡航・滞在する邦人に対して、中東情勢の緊迫化に伴う注意喚起を出しました。

神様:株価も中東情勢や原油価格の動向に左右されやすい状況ですが、ボラティリティ、つまり株価の変動の大きさは徐々に縮小していくでしょう。

T:原油価格の影響も大きいですよね。

神様:ここ最近の原油価格は、1バレル90~100ドル台で推移していました。仮に90ドル/バレルが定着すると、企業業績の悪化や様々なコスト増加により経済へのマイナス影響は避けられません。内閣府のデータをもとに試算すると、90ドル/バレルの影響は実質GDP成長率で0.24%の押し下げとなります。しかし、一方で日銀は2026年度の実質GDP成長率を1%とみていますから、このレベルの原油高であれば日本のプラス成長は維持できる見込みです。

T:なるほど。これ以上の情勢の悪化を避けたいところです。

神様:日本は世界各国の中で相対的に資源が乏しい国です。今回の中東情勢のように、ひとたび外部調達の道が途絶えれば、簡単にコストアップにつながりやすい産業構造となっています。この構造を何とかしなければなりません。

T:確かにそうですね。高市首相が掲げる「強い日本」に不可欠な持続可能な成長を実現するためにも、国際情勢や災害などの影響を受けずに安定した価格で持続的に確保する「エネルギー安全保障」が大切ですね。

神様:加えて、今後も生成AIの発展が見込まれます。データセンターのニーズが高まり、それに伴い膨大な電力量が必要になります。さらに、全世界的に脱炭素の実現が課せられています。政府は2025年2月、「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定しました。この計画では再生エネルギー(再エネ)の活用を進展させ、温室効果ガスの削減を狙っています。

T:安定的なエネルギー確保、新たな電力需要への対応、温室効果ガス削減、これら全てを盛り込んで実現していかなければならないということですね。

神様:それに最適なのが再エネです。持続可能な未来への展望を描くためにも、再エネの活用を進め、輸入による化石燃料依存体質からの脱却を目指すことが重要です。

T:第7次エネルギー基本計画で示している「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」では、電源構成において火力発電が3~4割程度、原子力発電が2割程度、そして再エネが4~5割程度と全体の中で最も高い割合になっています。再エネが日本の主要電源となるためには何が必要でしょうか?

神様:再エネの課題は安定的な供給にあります。課題を解決するためにはインフラの整備が必要です。天候や時間帯で発電量が変動する太陽光や風力等の再エネを強化するためには、エネルギーの貯蔵と柔軟な電力供給を可能とする蓄電池、蓄電所の構築が重要です。

T:蓄電所とは、蓄電池が集まった場所ですか?

神様:簡単に言えばそういうことです。電気を各地へ送るための送電網・配電網のことを「電力系統」と呼びますが、電力系統に接続して充電と放電を繰り返す大型蓄電池のことを「系統用蓄電池」と呼びます。今後はこうした系統用蓄電池の構築が重要になってきますが、構築していくためにはハードのみならず、需給予測などのノウハウも重要となります。

T:と言いますと?

神様:2021年4月、再生可能エネルギーの変動や急な電力需要の変化に対応し、電力の周波数・需給バランス(同時同量)を維持するための「調整力」を取引する市場として需給調整市場が創設されました。蓄電池や蓄電所ビジネスでは、この需給調整によって収益を得ることが重要となっています。そのためには、適切な需給予測も必要となります。

T:蓄電池を作るハード面だけでなく、AIなどを使った需給予測などのソフト面でも活躍が見込まれるわけですね。スポットライトに当たる企業も多岐にわたりそうですね。日本のエネルギー自給率向上に貢献し、日本の主力電源へと成長していく再生エネルギービジネス、注目していきたいと思います。

(この項終わり。次回4/8掲載予定)

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