第50話 シェアリングエコノミーと 株式投資(その3)
株の神様に投資のポイントを教わっているTさんは、新たな経済の動きであるシェアリングエコノミーが今後の経済に与えるインパクトについて聞いています。第一にシェアリングエコノミーが主要産業の企業の顔ぶれを変える可能性があることを聞き、第二に企業のあり方そのものを変えるインパクトがあり得ることに話題が移っています。
T:そもそも、『企業』というものが、シェアリングエコノミーによってチャレンジを受けるというのはどういう意味でしょう?
神様: 例えば、カーシェアの代表的な事業者のUberで言えば、車のドライバーは正社員ではありません。自分のスキマ時間に車を使って、お小遣いを稼ぐようなものです。
T:そうですね。人によっては結構なお金を稼いでいるとも聞きます。
神様:一方で、自動車メーカーはもちろん、タクシー会社も多くは正社員として雇用しています。Uberのような利用者と所有者をマッチングさせる事業を『プラットフォーム』という言い方をしますが、プラットフォームの事業者自体は、さほど多くの人を雇用するわけではないのです。
T:第二のインパクトの企業のあり方を変えるというのは、雇用が減るということですか?

神様:単純に雇用が減るというよりも、経営者(雇う人)—社員(雇われる人)というオーソドックスな企業の形態が変わっていく可能性があります。『シェアリングエコノミー』という書籍の著者のニューヨーク大学経営大学院A・スンドララジャン教授は「次世代は、誰もがどこかのプラットフォームに属して仕事をするのが当たり前になるかもしれない」と言っています。例えば、カーシェアで稼ぎつつ、Airbnbで自宅を活用して宿泊業を営むように、複数のプラットフォームで生計を立てる人も増えるかもしれません。
T:つまり、ある企業に属してその企業のために働くという、働き方そのものが変わっていく可能性があると…
神様:そうです。そう遠くない将来、太陽光発電と蓄電技術の発達によって、エネルギーの個人間取引も生まれる可能性も指摘されています。典型的に大規模投資が必要で、多くの人を雇用していた電力産業の分野で、個人の自家発電エネルギーをシェアするようになるなんて、劇的な変化だと思いませんか?
T:(感嘆して)そうですねー。
神様:このような文脈で、同教授は「クラウド(=大衆)ベースのシェアリングエコノミーは、20世紀の経営型資本主義に置き換えられる形で発展していくだろう」と予想しています。
T:それが、市場の主要企業の顔ぶれだけでなく、企業のあり方そのものを変える第二のインパクトということなんですね?2つだけでも相当大きなインパクトに思えますが、最初に3つと仰っていたので、まだあるんですね?(笑)
(この項つづく。5/17掲載予定)
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