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第53話 顧客を掴む企業と主役交代 (その1)

2017.05.31

株の神様に投資のポイントを教わっているTさんは、継続的に安定した業績を続ける会社の特徴について神様と話しています。


T:千里の道も一歩からといいます。成功者がよく、「わたしは天才なんかじゃありません。日々の努力を積み重ねてきただけです」とコメントしていますが、ナマケモノの目から見れば、「毎日休まず、何年も続けられるなんて、継続の天才だ!!」と思ったりします。

神様:株式投資の観点から言えば、“継続・持続”、を積み重ねた結果、顧客にとって“習慣化”した商品を提供できる会社は強いですね。

T:例えば、煙草や雑誌といった嗜好品から、缶コーヒーや醤油などの食品まで、一旦これと決めたらば継続的に買い続けてもらえる商品ですね。私の好きな晩酌で言えば、ビールなんかもそうですね。2016年のビール系飲料のメーカー別シェアでは、アサヒビールが7年連続の首位とニュースで聞きました。まさに、ビールと言えば「スーパードライ」と習慣している消費者が多いことを示しています。

神様:消費者の購買を習慣化するためのブランド力の構築が、重要な経営課題の1つでもあり、安定的で上昇基調の株価にもつながります。そのために広告宣伝費にもお金をかけます。でも、ビールで言えば、アサヒビールの前は、他社がずっと首位だったわけです。長くトップブランドで顧客の習慣を勝ち取っていた商品が、何かの機会でひっくり返ることもあります。その主役交代のポイントはなんだと思いますか?

T:そうですねぇー、商品開発でしょうか?「アサヒスーパードライ」の開発にあたっては、日本の食生活の変化に着目したとされています。マーケットサーベイから「何杯でも飲めるビール」、「どんな料理にもよく合うビール」という消費者ニーズを汲み取り、それまでの主流に比べて、苦味を抑え、甘さも控える代わりにアルコール度数が高めに設定されました。それが消費者の支持を受ける結果になったと聞きます。

神様:商品開発もポイントですが、「顧客の変化」を把握したことがより重要です。トップブランドにあると往々にして習慣化してもらっている安心感により「顧客の変化」に鈍感となります。トップブランドに甘んじることなく、顧客の変化を敏感に感じ取り、商品の改良やブランド訴求を工夫し続ける企業が顧客に習慣を持続してもらい、トップ企業であり続けることができるのです。

T:そういう企業が継続的に高い業績を続け、株価も安定した上昇基調となるわけですね。

神様:他にも、主役の会社が入れ替わるパターンがあります。どんなものだと思いますか?

(この項つづく)

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