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第54話 顧客を掴む企業と主役交代 (その2)

2017.06.07

株の神様に投資のポイントを教わっているTさんは、安定的に上昇基調な企業は「習慣的に」顧客に継続して買っていただける商品を持っているけれども、「顧客の変化」に敏感でないと、他の企業に取って代わられることもあると話しています。他にも主役交代のパターンがあると神様が言っています。2つ目のパターンは…


神様:例えば、総合スーパーとドラッグストアがわかりやすい事例かもしれません。あなたは週末奥様と買物に行く時に、ドラッグストアに行く頻度が増えていませんか?

T:確かに、増えています。妻からドラッグストアに乗せてってと月に何度か言われますね。

神様:なぜでしょう?

T:そうですねー、化粧品や薬の品揃えがスーパーなんかよりも豊富ですね。それに駅前の百貨店と比べると値段が安いし、駐車場も停めやすいですかね。

神様:それだけですか?

T:最近は、生鮮食品や米、それにワインなんかも置いているから、ドラッグストアだけで買物が済んでしまうことも多い気がします。

神様:そうですね。ドラッグストアは、主力が医薬品と化粧品であり、主な客層は主婦を中心とした女性ですが、健康食品や、一般的な食料品を扱うようになり、これが顧客の支持を受けています。

T:薬・化粧品と食料品、考えてみれば相乗効果のある商品ですね。食品を目的とした購買頻度は、薬・化粧品に比べて高いので、食料品を取り扱うと来店頻度が高まり、購買機会も増すという好循環が生まれているわけですね。

神様:結果、ドラッグストアが、食料品の分野で、駅近くの総合スーパーや大型の郊外ロードサード型スーパーマーケットを脅かし、主役に躍り出る可能性を秘めているのです。これは「ものの売り方=商品の品揃え」の工夫により、主役が交代する例と言えましょう。

T:食料品で見ると、2000年頃までは車社会の進展による週末の大量買いに対応すべく、駅前近辺に大規模駐車場を併設し、多層階建てで衣料品や家電など様々な商品を総合的に品揃える総合スーパーが、低価格や品揃えの豊富さ、ワンストップ・ショッピングの利便性で零細な小売店や百貨店からシェアを奪い主役となり、次に、駅前の道路事情が混雑化するのに反比例するかのように、郊外ロードサイド型のスーパーマーケットが利便性を武器に主役となり、そして今はドラッグストアが品揃えを武器に主役となりつつあると…

神様:そうです。諸行無常、有為転変と言いますが、この世の事象は常に変化しております。業界の主役、あるいは業界そのものも例外ではありません。我々は、顧客の変化に敏感で、ものの売り方を工夫し、次の主役に躍り出る企業や業界をいつも探す眼を磨くことが肝要となります。

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