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第173話 少子化・ニーズ減少…鉄道事業の「変革」

2019.09.18

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。今日は家族で休日の外出の計画を立てているようです。


T:今度の日曜日はどこへ行こうか?

S:映画を観に行きたいな。

A子:夕食はどこかで食べてきましょうよ。

T:じゃあ、たまには電車で都心へ出るのはどうかな?

Y:いいわね。家族みんなで電車に乗るのなんて、久しぶりね。最近は渋谷や品川駅は再開発が進んでいるから、びっくりするほど変わっているみたい。

S:やっぱりオリンピック対策なのかな。

T:それもあるかもしれないけれど、鉄道事業者はもう少し先を見ているかもしれないね。

A子:どういうこと?

T:これから日本は人口が減少すると言われているよね。鉄道事業は、電車を運行する費用や維持費用など、固定費が大きくかかる事業だと思うけれど、人口が減るとどうなるかな?

A子:利用者が減るから、利益も減るよね。でも大きなコストはかかり続けるよね。

T:その通り。それから、今後は自動運転技術やカーシェア (第48話 シェアリングエコノミーと株式投資(その1)) などで移動手段の多様化が進んで、電車のニーズも減るかもしれない。鉄道事業者にとっては未来にマイナス要素が多いかもしれないね。

Y:でも、電車がなくなると困るわ。

T:それはそうだよね(笑)。例えばJR東日本では、「変革2027」という新しいビジョンを掲げて、これまでの事業モデルを改革しようとしている。技術革新で鉄道の進化を図るのはもちろんだけれど、2017年から2027年の10年間では、人々の生活に関わるサービスや、ITや電子マネーといった事業領域を拡大しようとしていて、2017年以降、JR東日本の設備投資額は右肩上がりで伸び続けているんだよ。

A子:鉄道事業以外で利益を出せるように、種まきをしているのね。

T:そうとも言えるね。今、大規模な複合型まちづくり計画を推進したり、渋谷や品川といった駅の再開発を行っているけれど、そういう場所は今後の新しい事業モデルの中心地としたい狙いもあるかもしれないね。

S:そう言えば、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」も建設中だよね。

T:そうだね。高輪ゲートウェイ駅は、2020年に暫定開業し、2024年に本格開業する予定だね。高輪ゲートウェイ駅周辺は、「品川開発プロジェクト」と呼ばれていて、2024年には周辺に大きなオフィスビルやマンションなども建つ予定だよ。新駅では鉄道事業の未来が見えてくるかもしれないね。

A子:私は、今の電車の安全や使いやすさももっと向上してほしいな。

T:もちろん、それも設備投資のうちだよ。ホームドアの設置や列車内の防犯カメラの設置、踏切事故対策、それから案内表示の改善など、足元の安全や利便性にしっかり対応して、未来に向けて事業内容を変革できるか。応援する意味も込めて、鉄道事業の設備投資関連の企業にも注目したいね。

A子:じゃあ、今度の日曜日は品川に遊びに行きましょうか?

Y・S:賛成!

(この項終わり。次回9/25「訪日外国人「モノ消費」の変化 急拡大する「越境EC」に注目」掲載予定)

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