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第184話 学校パソコン「1人1台」時代へ 地域差解消の鍵は?

2019.12.04

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、秋晴れの中、公園で散歩をしながら投資談義をしているようです。


神様:11月のニュースで、安倍総理が「(学校で)パソコンが1人当たり1台となることが当然だ」と発言したことがニュースになったのを覚えていますか?

T:はい。ちょうどこの前、小中学校等の教育現場のIT化について神様とお話していたので (第178話 増税前駆け込み購入だけじゃない…パソコン市場の変化とは? ) 、タイムリーだなと思いました。

神様:そのときはパソコン市場の今後の変化についてお話しましたね。安倍総理は、11月13日に首相官邸で開催された「経済財政諮問会議」の中で、この発言をしました。なぜこのような発言をしたと思いますか?

T:まず、新学習指導要領は、小学校が2020年度、中学校は2021年度、高等学校は2022年度の実施予定です。小学校でのプログラミング教育の必修化、理数教育の充実などを盛り込み、そのためのICT環境の整備として、学習者用コンピュータを3クラスに1クラス分程度整備すること、大型提示装置・実物投影機を100%整備すること、そして超高速インターネットや無線LANを100%整備することなどの目標水準を定めており、ゆくゆくは児童生徒が1人1台パソコンを使えるように準備を進めています。それを受けての発言だと思いますが。

神様:その通りですね。問題なのは、自治体によって「やる気」に差があり、ICT整備の進捗に地域差が出ていることです。文部科学省が調査した「都道府県別教育用PC1台当たりの児童生徒数と教育用コンピュータ整備率」によれば、最も環境の整備が進んでいるのは佐賀県で、パソコン1台当たりの児童・生徒数は1.8人です。その後、鹿児島、高知と続いていますが、パソコン1台当たりの児童・生徒数は3人を上回っています。下位の県になると、神奈川県ではパソコン1台当たりの児童・生徒数は6.9人と、1台のパソコンを7人で使う計算です。

T:ずいぶん地域差がありますね。やる気ですか…。各自治体での予算の優先順位が異なったり、ICTに詳しい人が担当者としているかどうかも影響しているのでしょうね。

神様:経済財政諮問会議では、その他にも、10年前に国が電子黒板の普及を図ったが、ほとんど使われていない例を挙げ、国家予算を付けて整備しても活用されないのであれば意味がないこと、ハード面だけを整備しても、使いこなせる人材の教育、研修がなければ使えないなどの問題点が指摘されています。

T:確かにそうですね。教室にパソコンがあっても授業で使いこなせる教師がいなければ、意味がありませんね。

神様:その上で、国としてどうするのか?を示したのが、先の安倍総理の発言です。 パソコンが1人1台あることは国家意思として当然であると述べ、更に教師の研修などのソフト面も含めた取り組みをしていくべき、ということですね。

T:それをどのように進めるのか?ですよね。

神様:そこがこれから見えてくるところであり、変化していくところであると思います。教育のICT化に向けた環境整備は、2018年度から2022年度として策定されています。これからどのように進めていくのか注目したいですね。

T:ハードとソフトの両輪が大切ですね。以前IT人材について家族で話したとき (第156話 将来性のあるIT人材) 、新たな技術が次々生まれること、IT分野を一から学ぶのには時間がかかることを、私はIT人材の不足の要員として挙げました。国家戦略から見ても、学校教育の場をいかに活用できるかが、今後の日本の経済動向を左右するといっても過言ではないように思います。

神様:そのような背景を念頭に置きながら、パソコンだけでなく、電子黒板など学校のICT化をサポートする企業が、どのような提案を行うのかにも注目です。ハードを提供する企業とソフトを提供する企業とのコラボレーションもあると面白いですね。投資先としても、そのような企業を探してみると良いのではないでしょうか。

T:あとは、現在ICT環境の整備が進んでいる佐賀県などの例を調べてみるのも良さそうですね。学校に対してどのように民間企業が関わっているのかも調べてみます。

Tさんは、学校のICT環境の整備について、ハード面とソフト面の両方をどのように整備していき、またどのように地域差を解消していくのか、国と民間企業の双方の今後の動向について調べてみようと思いました。

(この項終わり。次回12/11掲載予定)

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