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第230話 コロナ禍「巣ごもり消費」で?ホームセンター人気の理由

2020.11.25

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、とあるホームセンターに来ています。


T:私は久々に来ました!ホームセンター。コロナ禍で最近はホームセンターが賑わっていると聞きましたが、昔より品揃えが充実しているような気がします。

神様:ホームセンターと言えば、日曜大工やいわゆる「DIY」、専門業者に頼らずに道具や材料を揃えて自分で修理したり作ったりすること、そのためのお店というイメージがありますよね。なぜ今、ホームセンターが賑わっているのかTさんはわかりますか?

T:テレビなどのメディアでも取り上げられていましたが、これも「巣ごもり消費」 (第203話 新型コロナウイルス拡大 注目される「巣ごもり消費」) の影響であると考えています。

神様:と言いますと?

T:コロナ禍で家の中で過ごす時間が多くなりました。ホームセンターは、園芸用品やインテリア用品など、巣ごもりには最適な商品を数多く扱っていますから、来店者が増えて売上も伸びたのでしょう。

神様:概ねおっしゃる通りですが、もう少し背景を説明したいと思います。ホームセンターは、主として日用雑貨や住宅設備に関する商品を販売する小売店で、DIY用品を取り扱っている点が特徴です。日本で本格的なホームセンターが誕生したのは1972年。季節の移ろいに合わせた商品の品揃えを得意とし、地域密着型の業態でした。しかし…。

T:しかし?

神様:国内ホームセンター市場と店舗数の推移を見ますと、直近15年ほどでは店舗数は伸びていますが、市場規模は横ばいで推移しています。なぜだと思いますか?

T:ホームセンターは東京近辺ではあまり見られませんが、地方では郊外に多く見られますよね。地方を中心に少子高齢化がさらに進むことを考えると、市場規模の横ばいは納得できます。

神様:そうですね。近年、ホームセンター業界は競争激化の真っただ中にあります。業界全体で多店舗化やM&Aが積極的に行われた結果、商品の購買力が向上し、仕入れ条件が改善しました。DIY商品はもちろんですが、日用品を多く扱うディスカウントストアの面も強くなりました。それによって従来のホームセンターよりも来店の頻度が高くなり、少ない商圏人口でも店舗を出店できるようになり、そして出店できるエリアも拡大しました。これはつまり、多店舗化やM&Aをできる大企業による強みが際立ってきたということでもあります。

T:そこにコロナ禍が訪れ、消費者のニーズに応えることができた、ということですか。

神様:その通りです。コロナ禍の前にも、例えば昨年9月の台風の時には特需で大きく売り上げを伸ばしました。ホームセンターは災害時にも大いに役立ちますよね。

T:知人が北海道にいるのですが、2018年の地震の時には乾電池やラジオ、電池式ストーブなどを買うために街じゅうのホームセンターを探し回ったと聞きました。まさに、困ったときのホームセンター。災害時にも強いですね。
 
神様:今後も、コロナ禍におけるホームセンターのニーズは根強いと考えています。最近では品揃えを充実させた大型店も登場しています。2020年以降のホームセンター市場の動向に注目したいですね。

(この項終わり。次回12/2「世界の「水問題」は誰の問題か?「仮想水」とは」掲載予定)

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