第280話 日本半導体産業の復活なるか 世界の”変化の兆し”に注目

2021.12.08

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にあるカフェで投資談義を行っています。


T:すっかり寒くなってきましたね。早いもので、今年も残すところあと1か月となりました。

神様:今年はコロナ禍で東京五輪が開催されました。また、国民の間でワクチン接種が進み、新型コロナウイルス感染者数は12月に入っても少ない状態ですね。

T:しかし新たな変異株も発見され、新たな不安を招いています。このまま経済活動が順調に回復していくことを望みたいところです。

神様:いつも言っているように、しばらくはウィズコロナ、新型コロナウイルスとの一進一退が続くのでしょう。焦らず感染対策を続けることです。さて、コロナ禍の影響を大きく受けてきた半導体市場ですが、ある変化の兆しが見えています。今日はそのお話をしましょう。

T:世界的にDX、デジタル化が進む中で、半導体不足が深刻化しています( 第264話 テレワーク定着・米中競争激化も背景に…深刻化する半導体不足 )。今後のさらなる需要拡大を背景に、先端製品の開発と生産能力の拡大が進んでいるのが現在の状況ですね。

神様:その中で、サプライチェーン(供給網)に変化の兆しが出つつあります。米国では、上院で半導体産業の国内育成を図る「米技術革新・競争法案」を可決しました。これは、今年1月に成立させた「国防権限法2021」における半導体の国内生産強化方針に対して、実際に予算を充てた内容となります。

T:日本でも動きがありますよね。

神様:その通りです。日本は国内の半導体産業復活のための取り組みを強化しています。11月15日に経済産業省で開催された「第4回半導体・デジタル産業戦略検討会議」では、半導体産業復活の基本戦略として緊急強化パッケージを公表しました。基本戦略では、半導体産業を2030年代まで3段階で支援。第1段階として「国内製造基盤の確保」、第2段階として「次世代半導体技術の開発、次世代技術に向けた日米連携」、第3段階として「グローバル連携による将来技術の開発、将来技術開発に向けたオープンイノベーションの活性化」を挙げています。

T:工場を誘致して先端半導体の国内生産能力を確保する第1段階の支援策として、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に新設する工場が認定第1号になる見込みですが、これも話題となりました。

神様:岸田首相は10月14日の総理会見で、この「最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出」について、「我が国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障に大きく寄与することが期待され」、「TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援についても経済対策に盛り込む」ことを表明し、11月19日に閣議決定された経済対策に盛り込まれました。

T:ここ最近は「経済安全保障」という言葉をよく耳にします。半導体の生産や先端技術の開発・研究について、自国で自律的に進められる体制を整えることの重要性が増しているのは、コロナ禍前から変化したところですね。

神様:そうですね。日米のほか欧州も、半導体の自国製造拠点の誘致に多額の補助金を出しています。世界各国が半導体などの“戦略的物資“の確保や重要技術の獲得にしのぎを削っている状況です。世界半導体市場統計(WSTS)は今年8月、6月に公表した半導体市場の売上額見通しを上方修正しました。半導体の約8割を占める集積回路(IC)での全製品の伸び率は、今年大きく伸びるだけでなく、来期も堅調な伸長が予想されます。市場の動向からはまだまだ目が離せません。

T:半導体製造装置や部材の関連企業にとってはチャンスということですね。

神様:もちろんです。経産省では、半導体市場は今後も右肩上がりで成長し、2030年には2020年の約2倍となる約100兆円まで伸びると考えています。今後新たな半導体需要の成長が見込まれる自動運転、IoT、スマート家電などの分野でいかに日本が存在感を示せるか。日本の半導体関連企業にとっては今が勝負どころであると言えるでしょう。

T:半導体産業の復活を目指して、日本の各企業に期待したいと思います。

(この項終わり。次回12/15「コロナ禍”正念場”越えた?建設業界に受注回復の動き」掲載予定)

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