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第302話 2025年万博で導入へ 交通を変える「空飛ぶクルマ」とは?

2022.05.25

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、川のほとりを散歩しながら投資談義を行っています。


T:3年ぶりとなる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のないゴールデンウィークを終え、新型コロナウイルスの感染者数も減少に転じています。屋外でのマスク着用の是非についても議論があります。いよいよ、アフターコロナへ進めそうですね。

神様:のんびりしてはいられません。2025年の大阪万博まであと3年です。

T:2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)は2025年4月13日から10月13日までの期間で、大阪・夢洲(ゆめしま)で開催されます。4月開幕ですから、もう3年を切っていますね。

神様:大阪・関西万博の「基本計画5つの特徴」の中のひとつに「未来の技術と社会システムが見える万博」というものがあります。大阪・関西万博では「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」をコンセプトとしており、会場では最先端技術に触れることができるでしょう。中でも注目されているのが「空飛ぶクルマ」です。政府は、この万博で旅客用の「空飛ぶクルマ」を本格的に導入する方針です。関西空港や神戸空港と会場である夢洲をつなぐ存在となる予定です。

T:それが実現すると、交通へのイメージが大きく変わりますね。以前、ドローンによる「空の産業革命」の話がありましたが( 第222話 「空の産業革命」へ前進 ドローンが見せる世界 )、「空飛ぶクルマ」もドローンと考えて良いのでしょうか?

神様:少し違います。ドローンとは、人が乗ることができないものを言います。無人で、遠隔操作や自動操縦で飛行させるものです。また、ドローンのうち重量が200グラム以上となると「無人航空機」に位置付けられます。それ以外は「小型無人機」と呼ばれます。それぞれ、航空法や小型無人機等飛行禁止法で飛行ルールが定められています。

T:と言うことは人が乗るとドローンではないのですね。

神様:その通りです。「空飛ぶクルマ」は、ドローンとヘリコプターの中間的な存在として位置付けられます。映像などで見たことがあるかもしれませんが、垂直に離陸したり着陸したりできる様はまさにドローンのようですね。垂直離着陸ができる機体のことを「VTOL」(Vertical Takeoff and Landing)と言います。現在世界中でVTOLの開発が活発化していますが、中でも主力になるとみられるのが「eVTOL」です。

T:”e”VTOLということは、電動の垂直離陸機ということですか?

神様:その通りです。ロールス・ロイスと航空宇宙産業のコンサルティング会社であるローランド・ベルガーの調べによると、2050年における世界の旅客用VTOLの運用数は161,000機と予測されています。そしてそのうち51%をアジア太平洋地域が占めると考えられています。日本では16,400機で予想営業収益は143億ドルに達すると予測されています。

T:日本では、2050年には16,000機以上の”クルマ”が空を飛んでいるわけですね。電動で環境にも配慮され、AIやIoTなど最先端技術が駆使されるのでしょうね。

神様:政府は2018年から、官民の関係者が集まり「空の移動革命に向けた官民協議会」を開催し、空飛ぶクルマの実現に向けたロードマップを作成し、計画を進めています。3月18日には第8回目が開催され、改訂版のロードマップも公表されました。まさに今、技術開発、実証実験、法やインフラなどの環境整備が進められています。電動の空飛ぶクルマは、旅客だけでなく、荷物や貨物を運んだり、交通の便の悪い山間部と都心を結び、救急搬送や災害救助にも活用されるでしょう。

T:そんな夢のようなeVTOLの登場まで、あと3年足らず。ロードマップでは、2030年には全国的な普及を目指していますし普及すれば大きな移動革命になることは間違いありません。eVTOLの発展に期待したいと思います。

(この項終わり。次回6/1「2022年夏は猛暑の予想 需要が増す熱中症対策」掲載予定)

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