兜のささやき兜のささやき

第330話 月探査計画・小型衛星ビジネス…宇宙ビジネスの拡大続く

2022.12.14

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:米国を中心に進められている有人月探査計画「アルテミス計画」がいよいよ本格的に動き出しました。11月16日、最初のミッションとなる無人試験飛行を行う宇宙船がロケットで打ち上げられ、無事に月周回軌道に到達しました。今後の動向が楽しみです。

神様:このロケットには日本が開発した無人探査機2機も搭載されて打ち上げられたのですが、残念ながら1機はトラブルにより着陸断念となりました。しかし、今後も日本の民間企業による月面着陸へのチャレンジが続きます。いずれ歴史的な一歩を目の当たりにする日が来るに違いありません。

T:そして近いうちに再び、人類が月面に降り立つのですよね?考えるだけでワクワクします。

神様:アルテミス計画では今後、有人試験飛行や有人月面着陸のほか、月探査の拠点となるゲートウェイの建設が進められます。当初計画からの遅れもありますが、順調に進めば数年後には「アポロ計画」以来の人類の月面着陸が見られるでしょう。

T:月探査への注目もあり、今後の宇宙ビジネスがさらに盛り上がっていきそうですね。

神様:以前もお話したように、21世紀は宇宙ビジネスが大きく成長していく時代(第276話 21世紀は宇宙ビジネス成長の時代へ 日本の宇宙政策を考える)です。直近の市場動向を見てもそれがわかります。宇宙関連団体の米スペースファウンデーションの発表によると、2021年の世界の宇宙産業市場規模は前年比で4.9%増となる4,690億ドルに拡大しています。衛星産業を中核として、右肩上がりの成長が続いており、今後も続くでしょう。

T:日本でも、独自の準天頂衛星システムが活用されています。今後はシステムの活用がさらに進むのでしょうか?

神様:はい。近年は衛星の観測データを資源開発や農作物の生産管理のほか、まちづくりにも活用するなど、新たな取り組みが見られます。ビッグデータや、AI、IoTなどの技術が活用されることにより、様々な宇宙利用サービスが創造され、産業の裾野が広がっています。一方で、欧米を中心に民間企業による衛星システムの構築が活発になっています。特に小型衛星では、多数の衛星を連携させて一体的に運用する「衛星コンステレーション」と呼ばれる衛星システムの構築が盛んに開発されています。今後はこういった衛星システムを中心に、日本の官・民による技術開発がさらに進むことが求められるでしょう。

T:米国のSpaceX社による「Starlink」など、全世界に渡って活用できる通信サービスが今後さらに増えていくのでしょうね。日本からも革新的なベンチャー企業が登場することが望まれますね。政府は2020年6月に「宇宙基本計画」を5年ぶりに改定し、宇宙安全保障の確保や災害対策、国際宇宙探査、民間企業の参画などを目標に具体的に取り組む内容が盛り込まれました。これからの日本の民間企業の飛躍のためには、「宇宙産業の国産化」の方針を掲げる政府がどれだけ後押しできるかも重要でしょうね。

神様:令和5年度予算の概算要求における宇宙関連の当初予算は、前年度当初比で24.3%増の4,824億円となりました。事項要求を加えた事業規模は5,200億円を超えると見込まれます。内容としてはH3ロケット、イプシロンSロケットなどのロケット打ち上げ能力の強化、月面有人探査の推進ほか、小型衛星の国際競争力の強化やシステム活用の推進など、宇宙開発を強力に推進していくものが並んでいます。まさに、技術の向上と産業の活性化をいかに進めていけるかが懸かっている予算です。民間からは、これまで宇宙開発と関わりがなかった異業種からの参入が増えていき、活性化が進むことが見込まれます。

T:衛星ビジネスや月探査を通して、多様な企業との思わぬ”化学反応”で新しい価値が実現することを期待したいと思います。

(この項終わり。次回12/21掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP