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第462話 鉄鋼輸出額超えたゲーム・漫画・アニメ20兆円目標は達成できる?

2025.08.27

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。


神様:今年の4月に、アニメが日本の「基幹産業」になる、というお話をしたこと(第442話 アニメが日本の「基幹産業」に?新たなクールジャパン戦略に注目)を覚えていますか?

T:覚えています。ちょうど大阪・関西万博がスタートする直前でしたね。報道によれば、万博は総来場者数の累計が1700万人を突破したとのこと。これほど大きな盛り上がりを見せるとは、あの時は予想していませんでした。

神様:万博も残り約2カ月となりました。悔いのないよう、今のうちに見ておきたいところです。

T:アニメなどの日本のコンテンツ発信も盛り上がりを見せているようですね。訪日外国人客もアニメ目当てで来場しているようで、「2033年までに20兆円規模」の実現に向け、良いプロモーションになっています。

神様:ところでTさん、「基幹産業」とはどのような意味であるかわかりますか?

T:その国の経済を発展させていく上でなくてはならない産業、国の発展を支える産業のことを言うのではないかと思っています。

神様:そうですね。辞書を引くと、「一国の経済活動の基礎となり、他の産業を発展させるうえで欠くことのできない重要産業。特に鉄鋼業、電力、石油、石炭などのエネルギー産業」と書いてあります。

T:自動車産業などもそうですね。多くの雇用を生み出し、これまで日本経済の発展を支えてきました。

神様:おっしゃる通りです。製造業は日本のGDPの約2割を占める重要な基幹産業です。今後もそれは変わらないでしょう。日本のコンテンツ・クリエイティブ・観光産業も国際競争力の観点から見ると十分な力を持ち、これらも基幹産業と言えます。後者の産業は、潜在的な力を十分に発揮させるべく、今後もしっかりと育てていくことが大切です。

T:そのため、政府は昨年6月に「新たなクールジャパン戦略」を策定し、今後の方針を定めたのですよね。

神様:日本発のコンテンツの海外市場規模は、2022年実績4.7兆円でした。2023年の日本企業のコンテンツ産業の海外売上高は約5.8兆円であり、過去10年で約3.6倍となりました。順調に伸びていると言えるでしょう。2023年の電子部品(半導体)の輸出額は5.5兆円、鉄鋼の輸出額は4.5兆円で、すでにこれらの輸出額は超えています。

T:なるほど。産業全体で見ると、コンテンツ産業は大きなインパクトがありますね。

神様:今年の6月、経済産業省は「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」と題した、コンテンツ産業の5カ年アクションプランを公表しました。半導体産業や鉄鋼産業の輸出額を超え、自動車産業に次ぐ規模となった日本のコンテンツ産業を今後どのように伸ばすか、まず今後の成長において現在不足していることが8つ挙げられ、それに対してゲーム、アニメ、漫画などの分野ごとに、具体的な行動計画が述べられています。

T:今不足していることとは、例えばどんなことなのでしょうか?

神様:例えば、海外でのリアルイベントの不足です。インターネット上での配信プラットフォームの登場により、海外でも日本のコンテンツに気軽に触れることができるようになりました。一方で日本企業が海外に出向いてイベントを直接運営する機会は少なく、海外で収益を生み出すための課題となっています。また、逆に海外のファンを日本に呼び込み、日本国内でアニメなどのコンテンツを体験してもらう仕組みも不足しています。

T:いわゆる「聖地巡礼」ですね。アニメや漫画の舞台となった地を訪れ、実際に目で見て体験するのはとてもわくわくしますよね。アクションプランを一度読んでみようと思います。

神様:世界のコンテンツ市場は2022年から年平均成長率5%で2027年には2兆1,500億ドルに拡大すると予測され、コンテンツ産業にとっては追い風です。特に映像配信など分野は成長が著しく、アニメなどの作品やキャラクターの制作を行っている企業にとっては大きなチャンスとなるでしょう。各企業の動向に注目していきましょう。

(この項終わり。次回9/3掲載予定)

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